ジャンゴ=『
続・荒野の用心棒』は、ドイツをはじめヨーロッパ各国で大ヒットを記録し、ジャンゴの名は独り歩きを始めた。特に西ドイツでは
フランコ・ネロ主演作品はことごとく「ジャンゴ」のタイトルをつけられることになる。コルブッチは続編の依頼をあっさり断ったので、フランコ・ロゼッティは『
続・荒野の用心棒』のプロデューサーの依頼で『殺しのジャンゴ/復讐の機関砲(ガトリングガン)』[1968]の脚本を書き、
ネロにそっくりな若者テレンス・ヒルがジャンゴを演じた。さらに、
関係ないのにジャンゴになったマカロニ俳優が続出した。
『復讐のジャンゴ・岩山の決闘』[1967]=グレン・サクソン、『待つなジャンゴ引き金を引け』[1968]=ショーン・トッド、『ジャンゴ対サルタナ』[1968]=トニー・ケンドール、『ジャンゴの息子<未>』[1969]=ガイ・マディソン、『ジャンゴ・ザ・バスタード』[1969]『復讐のガンマン・ジャンゴ』[1971]=アンソニー・ステファン、『ジャンゴとサルタナ<未>』[1970]=ハント・パワーズなどなど。
ジャンゴなんて出てこないのに『情無用のジャンゴ』[1967]や『血斗のジャンゴ』[1967]もあった。
なかでも、本家「ジャンゴ」の数か月後に世に出た
“パチモン・ジャンゴ”物の嚆矢が『
復讐のジャンゴ・岩山の決闘』だ。演じたのはオランダ出身のグレン・サクソン。体格のいい金髪のハンサムボーイ、
アメリカの高校ならアメフト部にいそうなタイプだ。監督は『荒野の10万ドル』[1966]や007のパロディ『ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦』[1967]のアルベルト・デ・マルチーノ。日本題『
復讐のジャンゴ・岩山の決闘』はいかにも三流だが(テレビ放映時につけられたタイトルなので仕方ないか)、軽快な演出、キャラの立った登場人物、テクニカラー・テクニスコープの横長画面を活かした凝った画面構成、そして二転三転する工夫に満ちた脚本で、
意外なほど(失礼)楽しめる快作西部劇だ。