ヴェネチア国際映画祭で最高賞に当たる金獅子賞を受賞し、“世界のキタノ”と呼ばれるきっかけとなった記念すべき作品。自らの責任で同僚を亡くした挙句、銀行強盗に走った刑事と幼い子を失った妻の逃避行が、独特の映像美と死生観を伴って静謐なタッチで描かれる。ほぼ言葉を発せず、静かに寄り添う主人公夫婦の姿には深い愛情が滲む。北野監督自身が手掛けた絵画が随所に挿入され、鮮やかな色彩美もアクセントとなっている。

張り込みの最中、刑事の西は同僚・堀部の好意で、体調を崩し入院した妻の美幸を見舞う。しかし、美幸が不治の病に冒されていることを告知されただけでなく、病院を訪れている最中に堀部が犯人に撃たれ、逮捕しようとした後輩は死亡。責任を感じて辞職した西は、殉職した後輩の妻の面倒を見るためにヤクザから借金を重ねた挙句、返済に困って銀行強盗を決行する。これで借金を返済した西は、残った金を持って美幸と共に旅に出る…。

★ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。

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