『帰ってきた中年犯罪団』野村雅夫氏 解説|動画文字起こし
イタリア映画に精通するラジオDJ・翻訳家の野村雅夫氏と、氏が代表を務める伊の文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」がいま推している伊映画の新たな才能、エドアルド・レオ。そんなエドアルド・レオに注目した特集「イタリア娯楽映画の進行形 エドアルド・レオ」について、野村氏が解説する番組をYoutubeで配信中!本記事では動画を文字起こしでお届け。あわせてお楽しみください。
目次
特集:イタリア娯楽映画の進行形 エドアルド・レオ
イタリア映画に精通するラジオDJ・翻訳家の野村雅夫氏と、氏が代表を務める伊の文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」がいま推している伊映画の新たな才能、エドアルド・レオ。みんな大好き明快でエモーショナルな伊娯楽作のこれが進行形!
解説番組
番組文字起こし
どうも、野村雅夫です。イタリア娯楽映画の進行形、エドアルド・レオ特集。今回ご紹介するのはこちら!
『帰ってきた中年犯罪団』。こちらは『わしら中年犯罪団』の続編になっておりまして、完全に前作のラストシーンから始まります。物語が進んでいきますと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように前作のクライマックスが違う視点で反復されたり、あるいはオマージュの要素として、『ターミネーター』なんかも加わってきます。ハリウッド映画好きの方はニヤリとするところかもしれません。
ともあれ、前作を踏まえつつも、過去から現代にやってきた人たち、そして現代から過去に向かう人たちと、過去と現代のストーリーが重層的に展開していきます。まあ現代から過去に行くっていうのは経験や知識がありますので、そこはね、特に問題ないんですけれども、逆に過去から現代にやってきた人っていうのは、まあ何から何までわかりませんから大変ですよね。
特に80年代のローマのギャング団のボス、エドアルド・レオです。タイムリープのカルチャーギャップのくだりや、ひょんなことから前衛芸術家になりすますシーンなんかはシチュエーションコメディの王道です。また本作からキャストに加わったカルロ・ブッチロッソという俳優がいちいち丁寧に突っ込んでいくことで笑いは倍増!コメディとしては「1」から完全にグレードアップしています。
そしてバイオレンスもグレードアップ。舞台はローマだけではなく、ナポリにも向かうんですね。すると今でも社会問題化している犯罪組織カモッラが登場。飛び交う弾の数も増えてゆくことになります。前作では銀行強盗がクライマックスになっていましたが、本作ではマフィアものと美術品の強奪というジャンルものの組み合わせ。集団犯罪ものとして展開をしていきます。
最新のラップからナポリの民謡まで、イタリアの様々な音楽に触れることができるのも楽しいです。これはナポリ独特の文化なんですが、結婚式であるとか誕生日のパーティーみたいな時に、地元の人気ミュージシャンを呼んでライブをしてもらうっていうのがあるんですね。で、参加している女の子たちが、もう地元のヒーローに会えて「嬉しい、キャー!」みたいなローカル文化の片鱗に触れることができるのも映画の醍醐味です。
さてマリアーナ団の聖地巡礼ツアーに端を発した一連の騒動でしたが、本作では満を持して「俺たちは犯罪団だ!」と宣言するに至ります。さあ、これを受けて、「3」ではどう展開していくことになるのか、ますます目が離せませんね。今回は「1」と「2」をご覧に入れますが、「3」を日本でお目にかけることができるかどうかは、スターチャンネルにおける評判にかかっています!もし気に入ったら広めていただければ幸いです。
この作品、そして僕が代表を務める会社、京都ドーナッツクラブが選んだほかの作品も含めて是非スターチャンネルでご覧ください!
作品の視聴方法
『帰ってきた中年犯罪団』
監督:マッシミリアーノ・ブルーノ
出演:アレッサンドロ・ガスマン、マルコ・ジャッリーニ、 ジャンマルコ・トニャッツィ、エドアルド・レオ
(c)2021 IIF
そのほかのラインナップ
ラジオDJ、翻訳家。大阪のFM802での様々な番組を経て、現在は姉妹局FM COCOLOのモーニングショーCIAO 765を担当。株式会社京都ドーナッツクラブの代表も務め、映画の字幕制作、コラム執筆や書籍の翻訳も手掛ける。
https://twitter.com/pondemasao