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主演のエイドリアン・ブロディらが語る、ホラードラマ『チャペルウェイト』が映し出す1850年代独特の恐ろしさ original image 16x9

主演のエイドリアン・ブロディらが語る、ホラードラマ『チャペルウェイト』が映し出す1850年代独特の恐ろしさ

インタビュー

2021.12.16

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スティーヴン・キングが大学時代に執筆した短編小説「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」に基づいて、新たなキャラクター設定と脚色でドラマ化したゴシックホラー『チャペルウェイト 呪われた系譜』。主演を務めるエイドリアン・ブロディとエミリー・ハンプシャーより届いた貴重なインタビューを公開!

目次

エイドリアン・ブロディ インタビュー全文

スティーヴン・キングはお好きですか?

彼の作品はどれも皆好きなんだ。スティーヴン・キングが書くホラーはただ怖がらせる為だけのストーリーじゃなくて人間を深く観察しているところから来てるので、人間の複雑な心理を良く掴んだドラマ性が非常に強い。そこが僕は好きなんだ。彼の本も勿論好きだし 映画やTV シリーズになったものも全部好き。彼みたいな幅広いジャンルで沢山作品を書き続ける作家が存在すること自体に感謝している。

本作がキングの他の作品と違う点は何だと思いますか?

まず彼の作品は膨大な人間観察が元になってるからどれも違う要素を持っていると思うけど、これは特に1850年代という時代背景から現代ものとは違う、あの時代独特の暗さや重たさが織り込まれていると思う。過去を背景にしてるという事から、現代にはないのしかかるような手作りの感じがホラー要素をさらに強め、迫り来る危機感に不気味さを増してると思う。

移り住んだ街の住民ははっきりしない理由で彼らを邪魔者扱いにする。壁から何か訳の分からない不気味なものがニュルニュルと出てきたり 見方も無ければ自分たちを護る手段も限られていて孤立無援。そんな中で家族を護り何とか運命を切り開いていこうとするチャールズ・ブーンがとても好きだった。

「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」 (このテレビシリーズの基になっているスティーヴン・キングの短編)を読んでいる時に感じたのは、本の中ですでにこのキャラクターは凄く立体的に描かれていて彼が感じている事が目に見えて来ると言う感じだった。彼の持ってる恐怖、戸惑い、家族への限りない思いなどが文字を追うだけで伝わってくるように書かれていたんだ。

ホラー作品の役作りへのこだわりはありますか?

僕は私生活でも演技の時も割りとドラマチックなアプローチで行く方だと思うよ。(笑)

人生そのものがドラマ満載だしね。だからドラマの中にもホラー要素はあるし、ホラーの中にもドラマの要素がある。コメディの中にも悲劇があり、悲劇の中にもコメディがあるように、それはその人次第と言うことにもなる。悲劇をコメディと感じるか、コメディを悲劇と感じるかは君次第ってこと。

どんなキャラクターを演じる時でも必ず守る事があって、そのキャラクターが感じてるエモーションの真実を探りだすと言う事。フィクションの中のキャラクターでも実存したキャラクターでもそのキャラクターに対する敬意として、何をどういうふうに感じてるかを必ず追求している。人間の取る行動はすべて内面で感じている事が発端となる訳だから。

まずこのキャラクターは何を感じて、だからこそこういう行動を取っているのだと基礎を固める事。その役が置かれてる環境の中で、何にどんな反応をしてるのか?演じてるキャラクターがそのストーリーの経過の中で持ち続けているビジョンを活かすという事。そのビジョンはどこからきたものなのか?その瞬間その瞬間に息を吹き込み生きたものにする。呼吸している事を感じる生きている生の瞬間。このアプローチはドラマ、ホラー、コメディ、どんな役を演じる時も同じものだと思っている。真実の瞬間を追求する。

ただホラーやスーパーナチュラルものの時は少々気負いを入れる。なぜかを言うとホラーやスーパーナチュラルものが見てる人に与えるのは、 普段僕達が見聞きし体験する事以上のものだからなんだ。普通の物差しでは測れないもの。それがやってる方にも見てる方にも面白さを増してくれるんだと思っている。

脚本を読んだ時はどう思いましたか?

役者業を始めた時はまだ若かったけど今この段階では大人になった自分を感じている。責任ある立場、責任を持って行動する役柄と言うものに同感できると言うか、理解できるようになったと言うか。 若い頃よりそう言ったキャラクターをエンジョイできるようになったと思う。『チャペルウェイト』の役柄が気に入ったのは子供・家族がいる環境。

家族をどんなことがあっても守ろうとする優しさと責任感。愛する人達を守ろうとする彼の強い思い。そんな部分が僕自身の中にあるものと共鳴したんだ。若い共演者達を自分の体験を通して理解しサポートできると思ったし、カメラの前に居る時のみならず、いろいろな面で彼らを護る事も出来ると思った。

共演者との繋がりはどんな映画の時も大事な要素ではあるけれど、とくにストーリーが家族を愛する人を中心に回転する場合は感情的な繋がり、安心感、お互いを守りたいと思う心、そういったものが特に大切な要素になるからね。彼らを護る心の余裕を持ちたいと思ったし、持てると思ったから。

実際の世界であなたを恐怖させるものは何でしょうか?

ニュースが怖いよ。今のニュースは今までに無く恐ろしいものばかり。世界中で悲劇が発生してて、毎日怖い事悲しい事が報道されている。

アフガニスタンの想像に絶する悲劇とインジャスティス(不正義)が僕達の目の前で繰り広がり、僕達はその大悲劇の目撃者となっている。なんという女性蔑視の現実。それをなんとかしたくても何も出来ないでいる人達。そんな環境の中に居る人達の事を思うと身体が震える思いなんだ。自分の生まれた国に居ながら安全は一切保障されず恐怖の中で日々を過ごす。現実の中のホラーに続くホラー。

想像を絶するよね。映画はその人生のホラーを再現して擬似体験させてくれる。映画観賞は現実逃避に良いというけれど、恐怖を擬似体験させてくれる場合もある。人間の苦闘、サバイバルの厳しさ、生活の中で実際起きてるホラー、それを見せてくれて自分達が普段使ってる計算方法以上のものを与えてくれる。 それを通して自分が体験したことが無い事を知り、その渦中にいる人たちの体験を身を持って感じ理解する事のヘルプになると思ってる。

撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

いろいろなチャレンジがあった。でも子供達も現実とフィクションの境界線をきちんと把握してて、撮影現場はフィクションの世界と分かって行動していた。

現場に居る人達全員が協力し合ってやっていくもので 皆が頑張って初めて一つのものが出来上がると理解していた。だから現場は一致団結の協力精神に溢れていた。メイキャップ、証明、衣装、ライター、監督プロヂューサー、それに共演者全員が協力して一つ一つのシーンを仕上げて行く。皆それぞれが自分のやることをやり周りをサポートする、と言うポジティブな部分を皆がエンジョイしてる感じだった。時には緊張感が充満し、時には笑いが発生し、いろいろなプロセスを通して何かをクリエートすると言う充実感がある撮影だった。

子役たちに何かアドバイスしたりしましたか?

それが皆非常にプロに徹してて自分のやるべき事をきちんと理解してくれてた。まあ10才の子の集中力が大人とは違うのは明白だけどね(笑)。僕が役の中に入り込んで演技すればするほど子役達もそれに付いてくるんだ。父親役になり切っている僕に彼らもそれぞれの役になり切った迫真の演技で付いて来る。子供達のナチュラルな感性って凄いものなんだ。だから誤魔化せない。

エミリー・ハンプシャー インタビュー全文

スティーヴン・キングはお好きですか?

スティーヴン・キングは私が大好きな作家。いつも彼の本を読んでる。彼はホラー作家と呼ばれてるけれど、ホラー作家と言うジャンルの中に入れてしまう訳にはいかないほど、彼が書いてるものは人間の計り知れない深さを扱ってると思う。 必ずしもホラーとは言えない、人間のサイコロジカルな動きを利用したサスペンスフルな人間ドラマと言うような感じのもの。

レベッカの役作りでキングの過去作に影響を受けましたか?

レベッカ・モーガンはこのTV シリーズのベースになったオリジナルの短編  「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」には出てきてない役で製作総指揮のフィラルディ兄弟がこのテレビシリーズの為に追加した役柄なの。素晴らしいアイディアだったと思う。1850年代の背景の中にレベッカのような社会的な習慣やルールに縛られないで自由に野心をもって生きる女性を登場させるってブリリアントでしょう?

この短編が出版されたのは1978年。あの頃はレベッカのような進歩的で周りの眼を気にせず女性の進歩を目指して進んで行く勇気ある女性をウーマンズリブの闘士のような形でしか受け入れられない社会背景だったと思うし 彼女は結婚もしてなく子供も居ない、1850年代なら教育程度は凄く高いけど売れ残りの寂しい女性と言う風に見られていたはず。

ところが現代はレベッカが結婚してないのを気にする人はそれほど居ないはず。レベッカのような自分の人生を自分の選択で進む女性に共鳴し彼女を自分の同士のような形で受け止めて彼女がインスパイアリングだと思う人の方が多いと思う。レベッカの追加は今の時代の流れに添ったもので効果的だと思う。

役が決まったときはどんな気持ちでしたか?

レベッカ・モーガンと言う女性が独立心の強い野心的な女性ライターと言う背景は素晴らしいと思った。でもオファーを受け入れる前に一つだけ確かめたい事があった。

野心的で進歩的なレベッカ・モーガンというライターが本を書く為にブーン・ファミリーの子供達の教育係として入り込んで行って色々探っては自分の本を書くための準備をしている。彼女が本当の理由を隠して秘密を探る野心的なライターだと言うセット・アップが面白いと思った。

私が気になったのはエキサイティングなスタートをしたものの3話目くらいになった頃には進歩的な生き方を目指していたレベッカが家の主人に恋をして野心を捨て、ライターとしての意気込みもすっかり忘れて今まで書いて来た本も途中でストップしてただの恋する女になってしまい、結婚をして家庭に入ってしまうと言うような運びになるのは絶対にいやだった。

そうなって行くなら断るつもりでフィラルディ兄弟に会いに行った。ところがレベッカは恋に落ちるどころかブーンファミリーの秘密を追求する事を止めず本は書き続け、最後はブーンファミリーの秘密の中にレベッカ自身も関わってる事が見えて来る。凄いストーリー展開でしょう?私は興奮しっぱなしだった。

レベッカは刺激的な役柄でしたか?

レベッカ役はとっても不思議な運命を感じたキャラクターだった。まず私が作家として尊敬するスティーヴン・キングが書いたストーリーの主人公の1人だと言う事。この話が来た時私自身が書いてた脚本が初めてテレビ局に売れた時だったから、野心的なライターの彼女には凄く共鳴できる部分があった。その上あの時スティーヴン・キングが書いたOn Writingがどういう事なのかを彼の体験を通して書き綴った本を読んでる真っ最中だったと言うオマケまでついてる。そんな状況の中で受けたオファーがレベッカ・モーガン役だったのは運命の出合い!としか思えなかった。レベッカからは学ぶ事が多くあった。演技をする時良く役者が自分の一部を役に上げたと言う時があるけれど 私はレベッカも一部をもらった。

女性がまだコルセットを使ってしゃなりしゃなり歩いてるあの時代に高等教育を受け女に取って結婚がすべてと言う時代に結婚もしてなければ結婚にこだわってる様子もなく自分なりの人生を築こうとして生きるレベッカ・モーガンから大いに学ぶ事があった。

レベッカはルールに盲目的には従わない生き方を貫きますね

そうなの、彼女の役作りの一貫でレベッカが行ったとされてるMount Holyoke  Collegeをチェックした。今でも実存する女子大で1837年に女子神学校として創設されたもの。すごく進歩的な教育をする大学として知られているわ。アメリカの女子大の中で一番初めにトランスジェンダーを受け入れた大学でもある。彼女は女も男と同じように教育を受け自分の人生を切り開いて行くべきと言う信念を貫いていた。

エイドリアン・ブロディとの共演はいかがでしたか?

素晴らしかった。勿論このテレビシリーズをやりたかった理由の一つにエイドリアンとの共演もあった。彼は素晴らしアクターだと尊敬してる。テニスは上手い相手とやればやるほど腕が上達すると言うでしょう?エイドリアンが私の演技を1段も2段も上に引き上げてくれると思った。

それに挑戦したかった。仕事への情熱も倍増した。エイドリアンは周りの共演者全員のやる気を向上させるタイプの役者なの。サプライズもあった。エイドリアンって物凄く冗談好きなの。あんなに笑わせてくれるとは思って居なかった。ナイスサプライズだった。

それと子役達のプロ意識。彼らは自然に1850年代の環境に入り込んでシーンの中に溶け込んでしまう。エイドリアンと互角に演技をしてるのにはビックリした。特に一番年下のイアンはまだ10歳なんだけどまるでゲームでもしてるかのようにスイッチの切り替え、演技へのオンとオフが見事なタイミング。まだ頭を使って演技すると言う年じゃない事から本能的なアプローチが自然で無理が無い演じを生むんでしょうね。
『チャペルウェイト 呪われた系譜』 
原題:CHAPELWAITE

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